AI
自然言語処理を用いて、製造業の情報共有課題を解決
DXは、「作って終わり」ではなく、使われ続けてこそ価値を生む。そうした前提のもと、クライアントのIT開発における管理業務を生成AIで変革するというミッションに臨んだのが、KPMGコンサルティングのDX専任部門Digital Transformation Accelerations(DXA)です。
その根底に横たわるのは、売上をいたずらに追い求めるのではなく、長期的な視点でクライアントに真に資することを優先するという全社に浸透する哲学です。プロジェクトを担った3人の言葉から、その実像に迫ります。
DXは、「作って終わり」ではなく、使われ続けてこそ価値を生む。そうした前提のもと、クライアントのIT開発における管理業務を生成AIで変革するというミッションに臨んだのが、KPMGコンサルティングのDX専任部門Digital Transformation Accelerations(DXA)です。
その根底に横たわるのは、売上をいたずらに追い求めるのではなく、長期的な視点でクライアントに真に資することを優先するという全社に浸透する哲学です。プロジェクトを担った3人の言葉から、その実像に迫ります。
クライアントが抱えていたのは、業界を問わず多くの現場に通じる「業務知見の属人化」という課題でした。対象になったのは、社内のIT開発の管理業務です。その業務を遂行するには相応の知識と経験が求められるため、社内で経験を積んだ特定の担当者に業務が集中し、知見が十分に共有されない、担当者としても、本来注力すべき業務にリソースを割けない状況が生まれていました。
こうした“普遍の課題”に対し、生成AIを活用して解決の足がかりを作ることが、今回のミッションとなりました。
具体的に対象となったのが、ITシステムの導入や更新を検討する際に作る企画書のレビュー業務です。目的や背景、仕様、予算などを企画書に盛り込み、社内の承認を得るというプロセスですが、その一次レビューを生成AIで代替できないか。そのような取組みになりました。企画書の作成者は、必ずしもシステムの専門家ではないため、盛り込まれる項目やクオリティにはばらつきが生じます。やりたいことは書かれていても、要件として必要な情報が不足しているケースも少なくありません。それを1件ずつ確認していくのは大きな負担となるので、そこをAIに任せられないか、検証と実装を行いました。
Digital Transformation Accelerations(DXA)はKPMGコンサルティングにおけるDX支援の専門チームで、業界・業種を問わず、DX戦略の立案から実行支援までを一貫して担っています。グローバルチームとも連携しながら最新の知見を活用しつつ、既存の枠組みにとらわれず新しい領域にも積極的に取り組んでいく点が特徴です。
私自身は他社で法人営業やITコンサルタントを務めた後、2019年に入社しました。
本プロジェクトでは、現場リードとして全体のマネジメントを担当しています。
新卒で外資系総合コンサルティングファームに入社し、主にシステム関連のプロジェクトで経験を積んだ後、2021年に当社へ転職しました。
本プロジェクトでは、クライアントに提案する前の初期ディスカッションから関わり、プロジェクト開始後は主に知見のご提供や設計面のアドバイスを担当しました。
DXAでは、今回と同じテーマで複数クライアントに支援を行ったことがあり、IT部門で活用しやすい生成AIのユースケースやプロンプトのデータベース、制度改善のポイントなど、ナレッジが蓄積されています。それをもとに、今回のクライアント業務に合わせてテーラーメイドで効果を導出するお手伝いをしました。
私はSIerでERP(基幹システム)開発・保守や、保険会社の情報システム部門のRPA導入推進などをしていました。2019年にKPMGコンサルティングに入社したのですが、実は以前にも当社に在籍したことがあり、2回目の入社となります。
クライアントと近い距離でコミュニケーションをとりながら仕事ができることに魅力を感じ、KPMGコンサルティングに入社しました。
今回のプロジェクトでは、生成AIのプロンプト開発を中心に、実務全般を担当しています。
まず、対象となる業務を選定し、めざす姿とそれを実現するための仕組みを検討しました。生成AIに投入するプロンプトを含めてクライアント環境で実際に動くモノを、クライアントと共に作り上げます。ユーザーフィードバックをもとにこうした検討と実行のサイクルを5回ほど繰り返しました。
さらには、今回の開発成果を他の業務へ展開することを見据えて将来像を策定し、そこに向けたリスク整理とロードマップ作成を実施。そのうえで、横展開の一部を実際にプロンプトとして開発し、展開イメージをクライアントにつかんでいただきました。
プロジェクトに入る前、社内の生成AIタスクフォースの活動に数ヵ月参加し、AIツールを用いた技術検証やデモ開発を行いました。そこで得た知見や勘どころを、本プロジェクトの設計に活かすことができました。また、本プロジェクトは、社内のAI専門家チームともコラボレーションして進めました。
この生成AIタスクフォースは、KPMGコンサルティング全社部門横断の集まりで、DXAのメンバーも多く参画し推進しています。最新のAI動向の把握をはじめ、社内事例やナレッジの共有、案件獲得・ケイパビリティ強化のための計画・実行などに取り組んでいます。特徴的なのが、単なる研修や座学ではなく、実際に手を動かしながらスキルを高めていく実践型スタイルである点です。クライアントに提供する価値を高めるためのケイパビリティを、プロトタイプを作りながら身につけていく場となっています。
プロンプト開発は、プログラミングと違ってどこを直せば精度向上につながるのかが見えにくいため、回答精度がユーザの期待を超えない時間が続いたときはもどかしさを感じました。その際は、一からプロンプトを組み直す、生成AIとプロンプトの改善案を壁打ちするなど、視点を変えて取り組むことで前に進めていきました。
クライアントに効果と実現性をなるべく具体的に伝えるというのも意識した点です。AIによるレビューを実際に目の前で動かして見せることで、「こんな回答を返してくれるんだ」「もう少しここに言及してほしい」「この部分はいらない」といった具体的な議論が生まれ、今後どう活用していくかをリアルにイメージしていただけました。
目の前の画面上で実際に動いているものを見ることで、とたんにイメージが湧く感じがありますよね。
プロンプトを考える際には、似たような業務への横展開や、その場で関わっていない方々にも幅広く使っていただくことを意識しました。そのため、文章をほぼ変えずに他業務へ転用できるよう、プロンプトに汎用性を持たせることにも注力しました。
クライアントにも実際にプロンプトを動かしてもらいながら意見をいただき、そのフィードバックを反映してブラッシュアップを図るプロセスを繰り返すことで、本当に求められているものに近づけられたのではないかと感じています。
私たちの仕事はものを作ることではなく、クライアントの課題を本質的に解決することです。だからこそ「作って終わり」ではなく、平準化や標準化、横展開などを通して使い続けていただかなければ意味がありません。たとえチェックする内容が変わったとしても、柔軟に対応できるようメンテナンスしやすい作りにしておく必要もある。そうした仕組みを考えていくことにこそ、私たちの価値があると考えています。
今回取り組んだのは、開発管理という長い営みの一部にすぎず、改善の種は他にもたくさんあります。企画書だけでなく、より具体化された設計書や、システムに落とし込んだ際のテスト結果、さらには担当者から役員に至るさまざまな階層での承認プロセスまで、生成AIを活用しながら自動化できる余地は広く残されています。
承認プロセスを例にとると、スケジュールを調整して会議体を設定し、説明を行うというハイタッチな方法を多くの企業が採用しています。もちろんツール導入を各社進めていますが、チャットやメールを通じて役員ごとに「◯◯さんはこのポイントを確認してください」といった形で人が介在することが求められています。しかし今後は、これまで人間でしかできないと考えられていた関係性負荷の高いタスクを、生成AIが支援・代替する仕組みに変わり、人間が担うべき重要な案件の判断および承認の質と効率を同時に高められるようになります。
クライアントの 想いや過去のプロジェクト知見を起点に将来目指すべき姿を描き、そこへのロードマップを設けたうえで、その一歩を実際に踏み出すところまで行えたのが、本プロジェクトの成果の1つです。生成AIをどう活用していくかや、その先にある姿がまだ明確に定まっていないなか、そこに向けた足がかり1つが見えたことが印象的でした。
DXAの、ひいてはKPMGコンサルティングならではの特徴として、売上をファーストプライオリティにはおかないことがあると思います。売上を最優先する考え方だと、提案内容にしても、支援範囲の設定にしても、「自分の利益になるもの」という判断軸になりがちです。
そうしたなかで当社には、クライアントにとって本当に何が良いのかを、社内の政治事情にあまり左右されずに考えられる風土があります。もちろん、そこには良し悪しがありますし、売上は大切なのですが、少なくとも私には、本当にクライアントに喜んでもらえる仕事をできる方が性に合っていると感じます。
やりたいことを突き詰めた先に大規模案件につながることがサクセスストーリーですが、それをゴールに据えて逆算していくのではなく、クライアントにとって本当に良いことを提供できたのであればそれで良い。そうしたあり方が根付いているのが、DXAの特徴だと思います。
クライアントに喜んでもらえたり、感謝していただけたりすることに、純粋にやりがいを感じます。それが、DXAで仕事を続ける原動力になっています。
そうした哲学・カルチャーがあるので、他の総合ファームでは請け負わないような小規模のプロジェクトにも携わることが少なくありません。ときには、そこから別プロジェクトへの思わぬ発展につながることも、DXA、ひいてはKPMGコンサルティングらしさです。
それと、もちろんタイミングにもよりますが、自分から手を挙げることで、スキルや経験にかかわらず柔軟にアサインしてもらえるチャンスがある点も魅力です。実際に私も、やりたいと手を挙げて参画したプロジェクトがあります。
私は他部門のプロジェクトに入ることも多く、そこで得た経験、人脈、知見などをDXAが担うプロジェクトで活かせています。
メンバーが何をやりたいかを汲んで、それに見合ったプロジェクトがあればアサインし、それがメンバーの成長機会にもなる。そんな環境があります。
そうした環境もあってか、専門以外の領域を幅広く経験しているメンバーが多いと感じます。したがって、クライアントに困りごとを相談された際も「そこは専門外です」と返すのではなく、まずは「大丈夫ですよ」と寄り添うことができる。そこも、DXAの“らしさ”ではないでしょうか。一方、近年は専門領域にとがった強みを持つエッジ人材の人数も増えています。組織としてT字のケイパビリティをもちたいですね。
フランクで話しやすい人が多く、部門を越えてコミュニケーションが活発に行われている点も、当社の特徴だと思います。今回のプロジェクトも、他部門のメンバーに要所要所でアドバイスをもらいながら進めていきました。
私は、他社を経験してから当社に入社したとき、人とのつながりやコラボレーションを大切にする姿勢を実感しました。
部門を問わず気軽に話を聞きに行けるので、情報収集のハードルも低いですよね。あと、何気ないことではありますが「ありがとう」や「ごめんなさい」をきちんと言える人が多いことも、居心地の良さにつながっていると感じます。
利害に関係なくフラットに相談でき、意見が違えばそれもちゃんと言い合える。地に足をつけて、長い目で仕事をしていきたいという人には、特に合う環境だと思います。
まずは今取り組んでいる生成AIという領域を、突き詰めていきたいと思っています。クライアントから「こんなことがしたい」とご相談を受けたときに、「それでは、ちょっとやってみましょうか」と短期間でさらっとプロトタイプをお見せできるくらいの実力を身につけることが、当面の目標です。
クライアントから打ち明けられた課題や、言葉にしきれないモヤモヤに対して「こんなふうに進んでいきましょう」と絵を描き、一緒に実現していく。そうやってクライアントの課題やモヤモヤを言語化する精度と、それをチームで形にする実現力を、突き詰めていきたいです。
その次は、クライアント発の課題だけでなく、自分自身のwillを起点に動けるように なりたいです。
私はテクノロジーそのものより、それを使ってクライアントの課題をどう解決するかに一番の関心があり、今後もそこを追求したいです。ツールやモノを提供するだけでなく、クライアントが本当に「変わった」「良くなった」と実感できるところまで伴走してこそ、この仕事の面白さが最大化すると感じています。
それには自分1人では限界があり、高い専門性を持つメンバーを含めたチーム力が重要になるので、チームビルディングも含めて楽しみながら取り組んでいきたいです。
※記事の記載内容は、2026年5月時点のものとなります。