児童養護施設を支えるプロボノの力
-プロボノ活動を行う意義と挑戦-
児童養護施設など社会的養護を必要とする現場では、深刻な職員不足が続いています。その課題解決に向けて、職員の確保・定着支援に取り組むNPO法人チャイボラ(以下チャイボラ)に対し、KPMGコンサルティングはプロボノ活動*として支援を行っています。チャイボラでは業務拡大に伴って、施設への就職希望者や関連企業、支援者など、取り扱う情報量が増加しており、このプロボノ活動では、個人情報の取扱いに関するルール策定、運用体制の改善、セキュリティ強化策の提言・実装支援などに取り組んでいます。一般企業とは異なる規模やITリテラシー、そしてプロボノ活動ならではの制約があるなか、どのようにプロジェクトを推進してきたのかをプロジェクトメンバーに尋ねました。
プロボノ活動:報酬を目的とせず、仕事で培った専門性やスキルを活かして社会や地域の課題解決に取り組む活動のこと。
豊田
J. N
Y. Y
プロボノプロジェクトの概要
まず、チャイボラとの最初の接点とプロボノプロジェクトの概要についてお聞かせください。
豊田
支援内容の主軸は、セキュリティ施策の提言と実装支援です。当初は最小限のセキュリティ対策から着手する想定でしたが、システムや運用、職員の意識を含め、組織全体の底上げが必要な状況でした。
どのようなメンバー構成で進めているのでしょうか。
豊田
J. N
メンバーの入れ替えに対する工夫
実働要員であるC/BAの入れ替わりが頻繁な状況で、品質担保のために工夫していることはありますか。
Y. Y
J. N
プロボノ活動に参画したC/BAのメンバーを見て、印象的だったことはありますか。
Y. Y
J. N
豊田
具体的なプロジェクトの施策
具体的な活動の内容について、法人全体の情報セキュリティ対策強化に向けて、どのような施策を実施したのでしょうか。
豊田
- 情報セキュリティガイドラインの策定
- アカウント管理運用の見直し
- 初心者向けセキュリティ勉強会の資料作成および講師
- 外部公開ポータルサイト刷新の要件定義およびベンダー選定支援
企業向けのプロジェクトで蓄積してきたナレッジをどのように活用しましたか。
豊田
J. N
印象的なエピソードがあれば教えてください。
豊田
2つ目は、現在取り組んでいるホームページ刷新の見積もり精査です。システム更改に向けて複数のベンダーから見積もりを入手したが、その提示金額の妥当性が判断できないという相談を受けました。チャイボラの更改要望を業務要件として網羅的に可視化整理して精査したところ、フルスクラッチではなく多くの同等機能を有するSaaSを活用することで、約2分の1以下の費用でも同様以上の機能が柔軟に実現でき、セキュリティ向上や運用負荷も軽減できることが判明しました。ベンダーから提示された額の妥当性を判断できずに受け入れる可能性があったため、KPMGが無用なコストを防ぐことができた意義は大きかったと感じています。
Y. Y
プロボノ活動を続ける原動力
プロボノ活動ならではのやりがいがある一方、リソースの確保やゼロからの意識醸成など、労力を要する一面もあると思います。そのような状況下においても、プロボノ活動を続ける原動力について教えてください。
豊田
J. N
Y. Y
豊田
J. N
Y. Y
メッセージ
プロボノ活動や社会課題解決に興味のある方へ、一言お願いします。
豊田
J. N
Y. Y
※記事の記載内容は2026年4月時点のものとなります。
チャイボラ代表・大山氏からの
感謝のメッセージ
KPMGコンサルティングの
みなさまへ
チャイボラはこれまでいくつかの企業さまからの伴走支援をいただいてきました。しかし、なかなかうまくいかず、同様の悩みを抱える団体の話はよく耳にします。
今回KPMGの皆さんが伴走してくださって、心から感謝しています。許されるのであれば、これからもずっとサポートいただきたいです。そう心から思えるのはKPMGの皆さんが私たちの活動や、チャイボラのメンバーの気持ちをとても大事に想い、活動をリスペクトしてくださっているからです。これまで私たちの想いを実現することを最優先して、私たちの成果を心から喜んでくださっているのが、表情や普段のやり取りで感じ取ることができます。そして何より、圧倒的な専門性と、私たちには到底できないリサーチ力には脱帽です。
ここまでしていただけるボランティアがこの世にあるのでしょうか。どれだけ助かっているか、頼りにしているか、言葉で表現するのが難しいほどです。皆さん本当に心があたたかく、それなのにとんでもない推進力を持ってサポートいただき、本当に感謝しています。皆さんが私たちに使ってくださる想いと時間をしっかりと施設に還元し、社会的養護施設の職員不足という課題を崩していきます。これからもどうぞよろしくお願いします。
チャイボラPJTに携わった
若手メンバーの声
K. I
コンサルタント
私が携わったのは、チャイボラが運営している施設採用担当者と求職者をマッチングするサイト刷新の、要件定義およびベンダー選定支援です。そのなかでの学びは、社会貢献活動をビジネスの文脈に織り込んでいくことの難しさでした。
ポータルサイト刷新のベンダー選定にあたって、チャイボラ側は「社会課題を解決する」という想いを持ったベンダーを希望されていました。チャイボラにフィットするベンダーを選定できるよう、チャイボラがベンダーに求める熱意や意欲を言語化して、営利目的で活動しているベンダー向けにビジネスの文脈に読み替えていくことはなかなかない経験でしたし、大きな学びでした。
また、チャイボラが主催するイベントに参加して、ポータルサイトのエンドユーザである社会的養護施設の職員の方々から直接お話を伺ったことも印象的でした。チャイボラの活動を通じて施設職員が増え、子どもたち一人ひとりが大切に育てられる世の中になってほしいというチャイボラに寄せる職員の方々の期待を伺ったことで、私自身のプロジェクトへの意欲が増していくことを感じました。
プロボノ活動では、主体性を持ってプロジェクトを推進することでスキル向上ができることはもちろん、それ以上にクライアントから直接感謝の言葉をいただく機会が多く、やりがいを実感できる場です。興味のある方にはぜひ経験して欲しいと思います。
I. K
コンサルタント
これまで経験してきたプロジェクトでは、体制上、上位メンバーの指示のもとでタスクを推進する形であったため、意識的に「上位者を見て学ぶ」姿勢をとっていました。一方で、その進め方では「自分だったらどうするか」という観点にリアリティが持てず、プロジェクト全体や支援の在り方を十分に自分ごととして捉えきれていない部分もありました。
本プロジェクトでは、主体的にタスクを設計し、推進する立場を経験しました。プロジェクトを前に進めるために自ら考え、判断し、実行するというチャレンジを通じて、以降に携わるプロジェクトでは体制にかかわらず、全体感を持ってタスクを捉え、主体性と責任感を持って実務に向き合えるようになったと感じています。
また、豊田パートナーと直接、業務内容についてやり取りしたことも強く印象に残っています。情報セキュリティ規定の草案作成を進める中で、情報セキュリティの基本的な考え方や、専門家としてのクライアントとの向き合い方など、多くの学びを得ることができました。
NPO法人へのプロボノ支援ということで、普段支援させていただくクライアントとは組織の規模や性質が大きく異なる点も新鮮でした。クライアント、ひいては社会への貢献を特に身近に実感し、自身の成長にもつながった貴重な経験でした。