ビジネスイノベーション 先進技術を積極的に活用したソリューションを提供
Business Innovation

イノベーションを“仕掛ける”組織
“仕掛けて行く”集団に
昨今、ビジネスにおける生産性向上の取り組みは、テクノロジーの発展によって加速する一方です。マーケットに顕在化しているイシュー一つひとつに丁寧に向き合っていく事は、これからも我々コンサルティングファームにおける重要な使命として続いていくでしょう。
しかしその一方で、多くのDX(デジタルトランスフォーメーション)イシューが、既存のビジネスモデルの範囲内での変革に留まってはいないだろうか、という点には我々はもっと注意を払うべきでしょう。競争ルールの大きな変換や新興サービス企業による業界破壊の足音に気づかずに、既存の土俵から引きずり降ろされていた、といったリスクが忍び寄っている業界・企業は少なくないはずです。となれば、オペレーション効率化、オペレーションDXの磨き上げの支援に終始するだけでは、コンサルタントとしての本分を果たし切れていないのではないだろうか、と私は考えています。顕在化イシューを必死で打ち返していく事だけに追われてしまっていては、市場から「どのコンサルティングファームに依頼しても大差ない」という評価しか得られない懸念も拭いきれません。
だからこそ我々KPMGコンサルティングは、今直面している顕在イシューにもしっかり向き合うと同時に、より大局的な視点・視座に立ち、クライアントのみならず業界や社会全体の非連続な成長、つまり革新的・跳躍的な成長を、自ら仕掛け提案していけるような組織機能の強化を図らねばならない、と考えたのです。
こうした問題意識から2021年7月に新たに起ち上げたのが、ビジネスイノベーションユニット(BI)です。「こういう変革にチャレンジしてみませんか?」と、変革テーマや成し遂げたい世界観を自ら描き出し市場に提案していく、とにかく“仕掛けて行く”ユニットにしたいんです。
課題を見つけ、世界観を描き出す。潜在的なイシューにアンテナを張りその解決の世界を描く糸口は、単純化すると2つ、「エッジの効いたテクノロジー」と「社会課題の解決というテーマ」のいずれかです。
先進的なテクノロジーの出現によって、これまで解決不能なさまざまなイシューが解決できる事例が次から次へと生まれています。その新たなテクノロジーは、クライアントの業務オペレーションを変えるのみならず、ビジネスモデルや業界構造すら変えてしまう可能性を秘めているのはもはや疑いようがないでしょう。BIの一つの“仕掛け方”がこのパターンです。エッジの効いたテクノロジーをいち早く探索し、深く理解し、その活用によってもたらされるイノベーティブな世界を妄想する事から見えてくる変革シナリオを持って、我々のクライアントあるいは業界に「こういう変革後の世界を作ってみませんか?」と仕掛けて行くのです。例えば、ノンファンジブル・トークン(代替不可能な、唯一無二の価値を持つ情報など)・仮想空間・Mixed Realityなどといったテクノロジーのさらなる進化を予想し、それらを掛け合わせてどのような変革をもたらす事が出来るのか。そこにはクライアントを巻き込んでイノベーションを興す可能性が無限に広がっています。こういった“テクノロジーからの仕掛け方“を日々探索し、時に既存プラクティスラインとも意見交換・ディスカッションしながら考えています。
そして、もう一つの“仕掛け方“が社会課題解決という切り口です。未来にイノベーションを起こし企業や業界の発展を支えて行くためには、「社会課題をどのように解決すべきなのか?」の問いに向き合うことは必至でしょう。社会課題という抽象化されたレベルにおいては、その解決に向けたステークホルダーは多岐にわたり、これまでのように一企業とだけ向き合っていれば良い、というスタンスではなくなりますし、成果を出すにも相当の時間がかかります。しかし、我々のクライアントの「ビジネスモデル変革」を支援する上でも、もはや社会課題解決と切り離したスタンスは成り立たないでしょう。であるならば、クライアントの個別の課題に対応するだけではなく、先手を打って「KPMGコンサルティングだったらこう解決したい」「一緒にこの解決を事業として取り組みませんか?」とアイデアをもって仕掛けて行くべきだと思っています。それを例えば、協業のような従来のコンサルティング業界にはない新しいコミットメントを示すビジネスモデルとして実現できれば、KPMGコンサルティング自身にとってのイノベーションにもなり得ますので、その使命にもBIはチャレンジしていきます。
BIユニットは、現在AIT(Advanced IT Technology)、EII(Edge Incubation & Innovation)、SVC(Social Value Creation)という3つのビジネスユニットで構成されています。ユニットとして統一されたビジョン・ミッションの元で、「テクノロジーエッジ」から切り込むAIT・EIIと「社会課題テーマ」から切り込むSVCがそれぞれ活動を加速しています。当然、「テーマ × テクノロジー」は掛け合わせていくものですので、ユニット内での横断的な連携は一層強くなっていきますし、今後は、社外の有識者も積極的に巻き込んだ連携を図って行く方針です。イノベーションは社内だけでは限定的になりますので。
“妄想力”こそが最大の武器となる
では、BIユニットの人材に求められる力とは何なのか。私は“妄想力”こそが最も重要なファクターだと考えています。高いビジネススキルと豊富な経験、先進テクノロジーに対するエキスパティーズ、優れたコンサル思考力などが重要なのは当然ですが、それ以上に右脳が生み出すイマジネーションこそが、イノベーティブな変革を創り出す源泉となるでしょう。これまで戦略コンサルとしてキャリアを積んできた経験では「左脳7割+右脳3割」という感じでしたが、BIユニットでは「左脳7割+右脳10割」で動こうと言っています。つまり170%フル回転です(笑)。もちろん理想像ですので、今いる仲間と必死で考え抜いて、お互い補い合いながら、組織としてこうした力を身に着け、強化して行く事が前提です。
BIユニットにおいては、デジタルテクノロジーやデータ活用においてエッジが立っている人、思考力においてエッジが立っている人、特定の社会課題テーマにエッジが立っている人、それぞれのタイプの人が存在していて良いと思っています。そのエキスパティ―ズを活かして、妄想し、まだ顕在化していない、あるいは解決のビジョンが描けていないようなイシューに対して、熱意と覚悟を持ってその解決に挑戦したい、“仕掛けていきたい”。そうした“未来創造”に対する強い気持ちを根底に持っている人であれば大歓迎です。
