
【組織・人材マネジメント】
クライアントと共に前向きな気持ちを醸成し、構造的なアプローチでDX推進支援
「営業所ごとに業務フローやシステムが個別化し、業務効率化やデータ連携を行うのが難しい。」
多くの企業に共通するこのような課題の解決を目指して、次期基幹システムのグランドデザインを策定し、クライアントから高い評価を得たのが私たち、KPMGコンサルティング Cloud Platform Solutionsチームです。支援の核となったのは、KPMGの業務改革ソリューション「KPMG Powered Enterprise」でした。
このソリューションを実際にどう活用したのか、そしてKPMGコンサルティングならではの強みや働きがいについて、メンバーに語ってもらいました。
「営業所ごとに業務フローやシステムが個別化し、業務効率化やデータ連携を行うのが難しい。」
多くの企業に共通するこのような課題の解決を目指して、次期基幹システムのグランドデザインを策定し、クライアントから高い評価を得たのが私たち、KPMGコンサルティング Cloud Platform Solutionsチームです。支援の核となったのは、KPMGの業務改革ソリューション「KPMG Powered Enterprise」でした。
このソリューションを実際にどう活用したのか、そしてKPMGコンサルティングならではの強みや働きがいについて、メンバーに語ってもらいました。
クライアントは、業務用厨房機器の大手メーカーです。全国に数十の営業所を持つ中で、業務システムがサイロ化し、同じ会社でありながらそれぞれの営業所によって業務フローもシステム構成もバラバラになっていました。それによって、営業所同士のデータ連携の遅延や不備、あるいは意思決定のためのレポートが一括データで揃わないといった問題も起こっていました。そこで検討されたのが、次期基幹システムの導入です。対象となる業務は、販売、購買、フィールドサービス、在庫管理、財務会計など、多岐にわたりました。
クライアントの特徴として、支援する顧客の数が非常に多く、またその形態も、大手食品メーカー、個人経営の飲食店、大手飲食チェーンなど幅が広いという点がありました。その顧客それぞれに応えるビジネスを構築されていて、それをどう標準化・効率化していくかが、今回のミッションの大きな課題の1つでした。たとえば個人経営の店舗では、厨房機器メーカーへの問合せを、電話やオンラインではなくFAXで行っているケースがあり、標準化にあたってそうした“文化”をどうするかも議論のポイントとなりました。
今回のプロジェクトは、KPMGコンサルティングがアライアンスを結ぶMicrosoft社からお話をいただきました。KPMGは、「KPMG Powered Enterprise」という、KPMG全体の業務機能に関する深い知見を集約し、さまざまな要素・視点から整理されたオペレーティングモデルと包括的なソリューションを有しています。その1つにMicrosoft社の業務効率化アプリケーション「Dynamics365」をベースとしたソリューションがあり、KPMG Powered Enterpriseを用いたアプローチや、Dynamics365の製品デモを通してクライアントに興味を持っていただきました。私はインド出身で20年ほど日本に在住し、前職はMicrosoft社だったのですが、同社の在籍時にさまざまな案件でPMO(プロジェクト管理)やリードを担い、製品のことをよく知っていることもあり、当プロジェクトでもリードを務めることになりました。
KPMG Powered Enterpriseは、一言でいえば業務改革のためのソリューションです。ITテクノロジーを前提に業務プロセスを構築しているのが最大の特徴で、DXの模範的な形を定義したメソッドおよびフレームワークとも言いかえられます。
KPMG Powered Enterpriseを活用することで、業務プロセスを一から組み立てるのではなく、規範と照らし合わせながら「この部分が足りない」とか「ここは置き換えた方がよさそうだ」といった判断が速やかに行えます。また、導入前からどんなシステムになるかを可視化することができるため、クライアントに導入後のイメージを持っていただけるのも強みです。そのように速やかにシステムを導入できるところが、KPMG Powered Enterpriseの特徴となっています。
KPMG Powered Enterpriseでは、Dynamics365上に各業務プロセスをマッピングした状態で模範を定義しており、そのテンプレートをベースに効率的に業務改革を進められます。なおKPMG Powered Enterpriseは、さまざまなグローバルパッケージをベースにした業務プロセスのマッピングも行っています。私も前職時代を含め、Dynamics365を活用した業務に15年ほど携わっていますが、今回は、CRM(顧客関係管理)とERP(企業資源計画)を同時に刷新する大規模プロジェクトとなり、私は長く従事してきたCRMの担当と同時にPM業務も担いました。
私はシステム開発からキャリアをスタートし、データを活用してクライアントの課題を特定し、変革を推進するBA(Business Analysist)へのキャリアチェンジを経験した後、ERPコンサルタントとして10年以上従事しています。今回のプロジェクトではマネジャーとして、システムと業務改革の両視点から、クライアントに最適なソリューションを提供する役割を担いました。プロジェクトを進める中でクライアントから新しい機能について質問された際に、日本側の実績と知見が少なかったため、KPMGインドに相談しながら今回のクライアント向けのシナリオを作成しました。結果的には、該当機能は要件に向いていないことが判明したのですが、Microsoft社の新しい機能に対してKPMGインターナショナルを含めた、グローバルレベルでの全体的なサポートができることをクライアント側が認識され、それまで以上の信頼関係を築けたと感じています。
今回のプロジェクトの大きなゴールの1つは、営業所ごとにバラバラなシステムを1つの“箱”にすることでした。そこには、意思決定を行うマネジメント向けのデータを揃えること、そしてコストを適切に抑えるといった観点も含まれます。そのゴールに向け、クライアントとディスカッションを重ねながら、最適なソリューションを探っていきました。
具体的には、KPMG Powered Enterpriseを構成する「Target Operating Model(TOM)」という業務オペレーションのフレームワークを参照しながら、改善すべき点や標準化すべき点を議論し、システムのイメージをクライアントと一緒に作っていきました。それにあたっては、Dynamics365の更新頻度の高さを考慮して、当社のグローバルメンバーの知見も採り入れながら最新事例を提案するよう心がけました。
Dynamics365をはじめとするERP系のパッケージでは、組織の構成を定めることで、どのレベルのデータをどこまで見られるようにするかの権限を決めることや、営業所のどんなデータをロールアップするかの設定も行えます。そうした機能をクライアントに見せしながら、サイロ化したシステムに“横串”を通すことで業務やデータの見える化が実現できることを説明していきました。
クライアントは過去に業務フローの定義を行ってはいましたが、時を経るごとにそれが少しずつ改変され、とりわけ首都圏では独自モデルともいえる状態になっていました。そこで取り組んだのが、KPMG Powered Enterpriseのプロセスをベースにした、全営業所での業務フローの統合です。この統合作業にあたっては、古い文化やしきたりを、たとえば「FAX文化」「システム改変文化」「システム上で評価指標を取得する文化」などのテーマに分け、それぞれを時代に即した形にどう変えていけばよいか議論しました。FAX文化であれば、EDIを利用して文書を電子データで自動的に交換したり、スマートフォンを介したやりとりを通じて顧客をナーチャリング(育成・養成)する方法を採用するのがよいのではないかといった議論です。KPMG Powered Enterpriseはグローバルの業務プロセスの最新トレンドをナレッジ化したものなので、それもきちんと見せながら「この文化は残しますか?」といったディスカッションを、クライアントと丹念に行っていきました。
プロジェクトを進めている中で、クライアントとの会議のスケジュール調整が難航し、Dynamics365の標準機能の説明やテーマ別の課題を議論する準備時間を十分に取れない時は苦労しましたね。ただ、バランスよく担当者をアサインすることで作業分担の調整ができたので、結果的には一つひとつを順調に進めることができましたし、私たちだけではなく他のチームメンバーの力も借りて相談しながら、良いソリューション案を提供することができました。ディスカッションはクライアントの業務内容に踏み込んだものになることが多く、クライアントサイドの方々から細かな課題やニーズも聞きながら、ようやくシステムの共通イメージができあがっていきました。
クライアントの現場では新しいシステムをどんどん導入したいと思う社員が多いのに対し、マネジメント層はコストへの懸念や、導入時のカスタマイズなどを鑑みるとすべては難しいという考えもあり、両者の調整にも苦労しました。現場の声も大切な要素なので、まずは現場でしっかりヒアリングをした上で、マネジメント層と一緒に「今回はクラウドシステムの導入検討で、あまりカスタマイゼーションを入れると後のアップグレードやメンテナンスで苦労することになるので、それは避けましょう」といったことを現場側に丁寧に説明し、折り合いを図りました。
課題感の大きい部分のディスカッションなどで活用したのが、POC(概念実証)やデモです。たとえば、クライアントの上層部の関心の高い管理会計などの領域については、POCやデモを用いながら、「最終的にはこういった全営業所のデータが含まれたレポートを見ることができます」というように説明しました。POCやデモに際しても、やはりグローバルメンバーの力を借りて、なるべく最新の形のものをアジャイルに用意できるよう動くことを意識していました。KPMGコンサルティングにはグローバルのオフショアメンバーとのネットワークがあり、類似の事例や課題がないか尋ねたり、適切なソリューションを考えてもらったりといったことをスムーズに行えます。このように、グローバルメンバーも巻き込みながら進めるケースは少なくありません。
私がこの仕事で特に大切にしているのが、クライアントとの信頼関係の構築です。どのプロジェクトでも、ファーストユーザーとの信頼関係が何より重要で、そこで良い関係が築ければ長期的なお付き合いにもつながります。信頼関係を構築するにあたってカギとなるのが対面でのやりとりだと、私自身の経験から感じています。もちろん、オンラインを活用したフレキシブルな働き方も必要ですが、相互理解を促すには、やはり対面コミュニケーションのパワーは大きく、都度クライアントに直接会いに行くようにしています。前職のSIer時代、クライアントの会社に7年ほど常駐した経験があるのですが、そこには何社ものコンサルティング会社が出入りしていて、その中から信頼関係を構築した会社が案件を獲得するのを何度も目の当たりにしたこともあって、このような考え方に至っています。
これまで話したようなさまざまなアプローチを経て、今回のプロジェクトでは、クライアントの期待に相応な価値を提供できたのではないかと自負しています。クライアントが行った経営層向けの報告でも、当社のソリューションを高く評価していただきました。
そしてありがたいことに当プロジェクトを受け、クライアントは今後BPR(業務改善)プロジェクトも実行し、さらにはグローバル事業でも基幹アプリケーションをDynamics365にすることも決定され、あらためて当社に声がけをいただいています。
KPMGコンサルティングは、グローバルメンバーも含めて各領域のスペシャリストがチームを組んでプロジェクトに臨むので、クライアントのニーズへ高度に寄り添ったソリューションを提供できます。それが強みの1つです。
プロジェクトチームを組むときは、それぞれの職能や強みがうまく組み合わさって、互いに補完し、シナジーが起きるメンバー構成を意識します。たとえ技術に秀でていても、その業界の深い部分を知らないとクライアントとの濃密な会話が難しくなるため、業界知識を持つメンバーもあわせてアサインする、などです。そうしたことを自在に行える点が、KPMGコンサルティングの強みとなっています。個々に苦手なことがあっても、チームとして補い合ったり、メンバーから学んだりすることもできるため、意欲のある方は幅広く必要なスキルを身につけることができます。
もともとの専門性に、そうしたビジネスのポータルスキルが加わることで、ビジネスパーソンとしての価値がグッと高まります。ビジネスのポータルスキルは一見ハードルが高いかもしれませんが、学ぶ環境さえあれば十分に習得できます。またKPMGコンサルティングは、経験が少なくても仕事を任せてもらえることが多く、かつプロジェクトチームの規模もあまり大きくないので、自ずと一人ひとりの裁量が広がります。その点も、個人の成長を後押ししてくれます。私は英語が得意ではありませんが、英語ができるメンバーの力を借り、また彼らから英語でのコミュニケーション方法を学びながら、グローバルメンバーとやりとりしています。
私は、さまざまなクライアントの深い部分までヒアリングでき、それに合わせてソリューションを提案できることに働きがいを感じます。クライアントの業務を理解すること自体が楽しいので、これからも現場で会話を重ねながら、最適なソリューションを追求していきたいです。また今後は、PMOとしての経験や、他の業務改善アプリケーションの経験も少しずつ積んでいきたいですね。
私はいろいろな会社で働いてきましたが、KPMGコンサルティングで働く今が一番、ワークライフバランスがいいです。私の場合は、原則18時半以降にはミーティングを入れないように一緒に働くメンバーにはお願いしています。かといって、何時までに終わらせてくださいといったルールはなく、自身の責任でワークライフバランスをきちんと取れる形で計画して動いてくださいというのが、会社の基本スタンスです。
コンサルティング業界に入る前は、深夜まで働くのが当たり前というイメージがありましたが、KPMGコンサルティングに入ってみたらまったくそんなことはありませんでした。その点で、すごく従業員ファーストな会社だと思います。私はクライアントと会うために地方都市に行くことがよくありますが、コアタイムはメンバーからの相談も多く、できれば移動ではなくオフィスで仕事をしたいので、出張先で提携しているシェアオフィスを使えるのもありがたいです。おかげで朝早く現地に行き、クライアントとの打合せ時間までシェアオフィスで仕事をしたり、逆に打合せが終わって東京に戻る前にシェアオフィスで仕事をしたりなどの形で、コアタイムを有効に使えています。
KPMGコンサルティングにはウェルビーイング文化が根付き、会社の部活への参加や、グローバルメンバーとの交流がしやすいのも魅力ですね。
週末はオフの時間をしっかり取れるので、私はよく散歩や音楽・映画鑑賞に充てています。またテクノロジーに関する知見を本から吸収するなど、スキルアップの時間も作りやすいです。
私は、オフでバンド活動をしています。18時ごろから練習でスタジオ入りすることが多く、実は今日も鞄にドラムスティックが入っていて(笑)。忙しさなどから10年ほど活動をやめていたのですが、KPMGコンサルティングに来てからは仕事と両立ができています。また、社内の学習プラットフォームの英語の学習コンテンツや、英会話スクールの費用を一部会社が負担してくれる制度など、英語を習得する環境が整っているので、オフを利用して英語を学習しています。将来的にはV.Sさんのように、グローバルメンバーが参加するチームのリーダーとなって、海外も含めたシステム統合の案件などに携わりたいです。
私は、プロジェクトの拡大を目指すのはもちろんですが、今後は人材の育成と採用にも力を入れていきたいです。まさに、グローバルなチームを率いることのできるチームリーダーを輩出していきたいですね。KPMGコンサルティングは、大手コンサルティング会社の中では後発で、組織や文化を自分たちで作っていける“ホワイトスペース”がまだ多くあります。そうした部分にやりがいや可能性を感じる方と、ぜひ一緒にお仕事がしたいです。
※ Microsoft、Microsoft Dynamics 365 は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※記事の記載内容は2024年12月時点のものとなります。