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ケーススタディ③ チェンジマネジメント

Management Consulting ユニット長インタビュー ケーススタディ ① 戦略 ケーススタディ ② デジタルトランスフォーメーション ケーススタディ③ チェンジマネジメント

困難な変革を乗り越える中においても、クライアントと共に楽しみを見出し、構造的なアプローチでサポート

DX推進には、既存のビジネスを遂行するために築き上げたオペレーションを再構築する変革が伴い、これは企業の成長に欠かせないのですが、従来のやり方から変わること、変えることに抵抗を感じる人が少なくないのも事実です。だからこそ重要になってくるのが、KPMGがグローバルで培ってきた構造的なチェンジマネジメントのアプローチと、困難な変革の中に楽しみを見出すことで、前向きな気持ちを醸成し、変革を乗り越えようという考え方。
このハード・ソフト両面でのチェンジマネジメントの方法を示し、クライアントに寄り添って変革の実現を支援しています。DX推進による組織変革に向かってクライアントの背中を押していったプロジェクトをご紹介します。

DX推進には、既存のビジネスを遂行するために築き上げたオペレーションを再構築する変革が伴い、これは企業の成長に欠かせないのですが、従来のやり方から変わること、変えることに抵抗を感じる人が少なくないのも事実です。だからこそ重要になってくるのが、KPMGがグローバルで培ってきた構造的なチェンジマネジメントのアプローチと、困難な変革の中に楽しみを見出すことで、前向きな気持ちを醸成し、変革を乗り越えようという考え方。
このハード・ソフト両面でのチェンジマネジメントの方法を示し、クライアントに寄り添って変革の実現を支援しています。DX推進による組織変革に向かってクライアントの背中を押していったプロジェクトをご紹介します。

まず本プロジェクトの概要について教えてください。

S. M
S. M

グローバル医薬品メーカーの日本法人のDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)推進にあたり、変革がもたらす影響分析やクライアント社内向けの周知活動・ITシステムのユーザー向け研修の計画立案など、変革における人・組織面での支援を行いました。システム導入そのものは他のITベンダーが担い、KPMGコンサルティングはそれに伴う組織変革を支援するという枠組みでした。M&Aや各国の事情により社内に異なるシステムがある状況下で、DXをグローバルで本格推進していくにあたり、グローバル標準のシステムに統一することが狙いでした。

油布 顕史
油布 顕史

グローバルでのDXの取組みは2年ほど前に始まっていて、日本法人での取組みもグローバル展開の流れに乗り、今年に入って本格的にスタートしました。それぞれの国ごとに最適化されていたシステムを、グローバルで統一のシステムに一気に置き換えるわけですから、業務手順も変わり、現場では大きな混乱が生じかねません。誰がどんな影響を受けるのか、それをどうやって乗り越えてもらうかを分析・検討し、そのためのコミュニケーションや業務プロセス・ITシステム操作習熟のためのトレーニング計画・実行支援を行うことが私たちに課せられた役割でした。

具体的には、チェンジマネジメントとはどのような活動なのでしょうか。

S. M
S. M

チェンジマネジメントは、組織や個人をあるべき姿に変革させる際に、そのプロセスで生じうる混乱や抵抗を最小化し、組織や個人が新しい状態に適応できるように推進するアプローチのことです。具体的には、変革についての周知や新しい業務・システムの研修などを行っていきます。そうした一連の活動を効果的に行うため、KPMGコンサルティングでは、グローバルで定義されたフレームワークを活用して、クライアントのチェンジマネジメントを支援しています。
チェンジマネジメントと言うと、日本では組織風土改革のようなイメージが強く、今回のプロジェクトのような大規模システム導入に伴うオペレーティングモデル変革支援型のチェンジマネジメントはあまり多くないかもしれませんが、海外では比較的広く活用されている手法です。

S. N
塩野

オペレーティングモデルの変革が伴う場合、実際に運用手順などに変更が生じる社員への周知や巻き込み方が非常に重要になります。今回のプロジェクトでは、クライアントのステークホルダーも含め、誰にどのような手段で周知すべきかの方針と計画を作り、クライアントが確実に実行できるよう支援していくことが私たちに求められていました。

K. S
Y. T

一口に業務やシステムの統一といっても、受ける影響は部門によって大きく異なります。例えば、カスタマーサービスやサプライチェーンなどの部門は、日本とグローバルで仕事の進め方が異なるところも多いため、特に大きな影響を受けると考えられていました。全体を一律に考えるのではなく、部門ごとのインパクトの差も考慮しながら、部署別説明会や社内イントラ上での情報共有など、各部門に合わせた丁寧なコミュニケーションやトレーニングを計画していきました。

プロジェクトはどのようにして始まったのでしょうか。

油布 顕史
油布

海外のKPMGメンバーファームが中心となり、日本を含めたグローバル・ローカルでの支援体制を構築するところから始まりました。プロジェクト受注の決め手となったのは、チェンジマネジメント領域において、KPMGコンサルティングがグローバルで豊富なノウハウと実績があったことです。グローバルのナレッジやアセットの活用も、クライアントが大いに期待していることでした。

大池 一弥
大池

組織としての強みに加えて、コンサルタント個人の力量も高く評価いただいたと思います。日英バイリンガルでコンサルティング実務および効果的なコミュニケーションができるかという点も含め、総合的に判断されたと思います。

油布 顕史
油布

プロジェクトメンバーのアサインにあたっては、多様性のある環境で働ける人材かということも考慮しました。異なる見解や異なる文化・生活習慣などに対する適応力は、グローバルプロジェクトでは大切な要素です。

K. S
K. S

私は新卒で入社したのですが、バイネームで声のかかる先輩コンサルタントに憧れていました。今回のプロジェクトで声がかかり、とても嬉しかったです。

S. N
S. N

これほど大規模なグローバルプロジェクトに携われる機会は多くありませんし、チェンジマネジメントにも以前から興味がありました。若手社員のこともよく見て、一人ひとりの成長につながるチャンスを与えてくれる、KPMGコンサルティングならではの魅力を実感しました。

大規模なグローバルプロジェクトですが、チームとしてどのようにプロジェクトに取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

油布 顕史
油布

IT開発側のスケジュールがすでに開始している状況でプロジェクトに参画したため、まずはキャッチアップが大変でした。非常に限られた時間の中で、私たちのチームに求められている実務もこなさなければならないですし、重要な役割を担う海外のプロジェクトメンバーとのコミュニケーションも欠かせませんでした。

S. M
S. M

チェンジマネジメントの活動を開始するうえで、特に重要だったのは、タスクを日本法人の状況に合わせて調整することでした。グローバルで定義されたチェンジマネジメントのフレームワークを、そのまま日本企業にあてはめるのはなかなか難しいんです。最終的なアウトプットは変わらないのですが、タスクの進め方、コミュニケーションの取り方、などのアプローチをカスタマイズする必要があります。私自身も、これまでさまざまなグローバルプロジェクトに取り組んできましたが、こうしたローカライゼーションがプロジェクトの成否を左右することもありました。

大池 一弥
大池

ローカルにはローカルに合った進め方があることは、海外KPMGファームもよく理解しているところでしたので、私たちの進め方を尊重してくれていました。

油布 顕史
油布

コミュニケーション上の工夫というのも、非常に重要だったと思います。コロナ禍ということもあり、リモートワークが基本なのですが、クライアントとも社内でも、オンラインのミーティングが朝からずっと続くとどうしても疲れますし、議論も上手く進まなくなることがあります。そこで、うまく肩の力を抜いてコミュニケーションできる仕掛けも必要でした。特に、対面では顔を合わせたことはないメンバー間で意見交換が求められる場合、ミーティングの場をいかに効果的にファシリテートするかはとても大切です。

大池 一弥
大池

オンラインミーティングの開始前に音楽を流したり、アイスブレイクで簡単なクイズを出すのは、そういった仕掛けの良い例です。グローバルチームのリラックスした雰囲気の運営手法を日本にも持ち込むべく、メンバーからの提案で行いました。

油布 顕史
油布

ミーティングという場を利用し、お互いのパーソナリティを知ることは、とても大切なことです。クライアントと私たち、そしてメンバー同士のつながりが強くなり、結果としてプロジェクト全体の風通しがよくなりました。お互いの距離が縮まることで、クライアントもプロジェクトにより積極的に参加くださるようになり、厳しい作業・会議スケジュールを何とか間に合うよう調整してくださる場面も見られました。

K. S
K. S

私たち自身が楽しみながらチェンジマネジメントを進めていくことは、良い影響があったと感じています。私たち自身もそうした雰囲気でのクライアントとの対話を楽しみにしていましたし、その空気感はクライアントにも伝わっていたと思います。

S. M
S. M

最近のヨーロッパでは、“Change is Fun”がチェンジマネジメントのトレンドとなっていて、ビジョン策定のワークショップでは参加者全員がバーチャルポストイットで各自の想いを大きな絵の上に貼ったり、周知にも動画を多用したりして、さまざまな楽しさを演出しています。一方、日本では、こうしたトレンドは受け入れにくいのではないかと思っていました。今回のプロジェクトを通じ、少しの工夫で変化自体に前向きに取り組んでくれるようになるクライアントの姿を目の当たりにしたことで、日本でチェンジマネジメントを推進するうえでの重要な示唆を得られたと思います。

大池 一弥
大池

日本でも、チェンジマネジメントを支援するグローバルプロジェクトが今後増えていくと思います。今回の経験も踏まえつつ、さまざまなクライアントやプロジェクトにサービスを提供できるような体制を作っていきたいですね。

グローバルプロジェクトならではのご苦労もあったのでは。

S. M
S. M

クライアント社内において、グローバル本社と日本法人の間で考えや進め方が異なる場面も多く、その調整には労力がかかりました。このプロジェクトでは、国内外含めとにかくカウンターパートが多かったですね。

S. N
S. N

確かに1つの会議に日本人、フランス人、ロシア人、インド人、中国人などさまざまな国から多様な役割のメンバーが参加するのは、グローバルプロジェクトならではでした。クライアント側も英語が堪能なメンバーがアサインされていましたが、それでも仕事の進め方の違いからコミュニケーションがすれ違う場面や、英語では細かいニュアンスが伝わりにくい場面もありました。私たちが間に入って補足し、ミーティングのファシリテートも工夫することで、クライアント内の合意形成を随時サポートしました。こうした配慮により、インクルーシブな環境づくりができたと思います。

油布 顕史
油布

KPMG側も、日本だけでなく、KPMGフランスやKPMG米国からもメンバーが参加し、それぞれの専門領域や役割、カウンターパートも異なることから、入手情報にばらつきがあり解釈が異なったことも苦労した点でした。判断しなければならないことがあるのに、日本側に必要な情報が揃っていない、では誰に聞けば良いのか、といった情報収集、意思決定者の特定など、グローバルでの連携に工夫が必要な場面が多くありました。

K. S
K. S

時差も悩ましい問題でしたね。夜間や早朝のミーティングだとどうしてもメンバーの負担が大きくなるので、時間や参加メンバーは最小限に抑えるように調整しました。

S. M
S. M

私は小さい子を育てているので、フレキシブル・ワーク・プログラムを利用し、1日残業なしの7時間勤務としています。子どもの保育園お迎えの時間に重要なミーティングが入ることもありましたが、そんな時は、大池さんを含め他のメンバーが代わりに出席してカバーしてくれました。

大池 一弥
大池

上司や部下といった垣根はなく、メンバーの誰もが支え合うのはKPMGコンサルティングならではのカルチャーだと思います。

プロジェクトを共にリードしたKPMGフランスのパートナーおよびメンバーと共に

素晴らしいチームワークですね。メンバーの成長も早いのでは。

S. M
S. M

プロジェクト自体にスピード感があるのですが、メンバーの成長もスピード感がありますね。オーナーシップをしっかり発揮し、新しい知識の獲得も積極的に行っています。

K. S
K. S

各メンバーの裁量が大きいため、上司の指示に従って動くことが少なく、常にオーナーシップを持って仕事に向き合うことができました。クライアントの風土のおかげもあって、はっきりと自分の意見を言えましたし、失敗を恐れずに挑戦できたのもいいですね。それがすごく成長につながったと感じています。

S. N
S. N

チーム内勉強会を週次で開催し、多くの疑問を解消することができたことも、大変役に立ちました。今回のプロジェクトで求められる幅広い基幹業務の知識やIT知識を集中的に身に着けるとても良い機会になりました。

油布 顕史
油布

権限の委譲が人を成長させるのは間違いありませんし、それをクライアントが受け入れてくれたこともあって、メンバーが大きく成長できる環境がありました。同時に、これまでで一番楽しいプロジェクトでもあったと思います。この雰囲気をぜひこれから入社する皆さんにも知っていただきたいですね。

※記事の記載内容は2023年1月時点のものとなります。