ケーススタディ ⑤ リスクマネジメント×デジタル人材

Project 5:RC x Digital talents

KPMGコンサルティング

リスクマネジメントにおけるデジタル人材の真価

リスクマネジメントはKPMGコンサルティングのサービスラインの1つです。テクノロジーの進化とともにこの領域においても、テクノロジーへの深い知見が求められるようになりました。また、データマネジメントが企業の重要な経営課題となるにつれ、コンプライアンスやガバナンス面でのリスクも大きくなってきています。
これからの大きなテーマであるリスクマネジメントとテクノロジーの融合に対して、KPMGコンサルティングは先駆的に取り組んでいます。

R. I

R. I

シニアマネジャー

家電メーカーのシステム開発・運用を経てイギリスの大学院で社会学を学んだ後、2007年にKPMGコンサルティングに入社。主に金融業界、自動車メーカーのリスクマネジメントに携わる。


 

S. T

S. T

シニアマネジャー

SIerでSEとしてシステム導入、運用・保守を担当した後、2015年にKPMGコンサルティングに入社。データ分析・データマネジメント態勢構築のデータ利活用領域や、リスクマネジメント・内部統制に係るサービス提供に携わる。

T. H

T. H

マネジャー

日系のITコンサルティング会社で経験を積んだ後、より上流のフェーズから携わりたいと考えて、2021年にKPMGコンサルティングに入社。BIツール導入等に携わる。



 

Hazuki M.

H. O

シニアコンサルタント

2021年に新卒でKPMGコンサルティングに入社。専攻は文化人類学。米国でAI倫理を学ぶ。入社後はデータマネジメントに広く携わる。

――最初に本プロジェクトの概要を教えてください。

S. T クライアントは大手インターネットサービス会社です。同社はデータマネジメントの領域において先行的な取組みを行っていましたが、事業の拡大とともにリソース不足が深刻化していました。そこで、データマネジメントのさらなる拡充に向け、KPMGコンサルティングで支援を開始させていただきました。

R. I もともと、クライアントとはKPMGコンサルティングの別チームが従来から取引をしており、そのチーム経由で、私たちにご相談がありました。

S. T インターネットサービスにおいて、データはビジネスの生命線です。当然ながらクライアントはそのことを非常によく理解されており、DX推進においてもデータのさらなる利活用が必須であると考えていらっしゃいました。しかし、国内でも有数のユーザー数を誇るインターネットサービス企業ですので、商品・サービス・顧客に関するデータは膨大で、年々増える一方です。もはや生のデータを管理するのは限界に達しており、“メタデータ”として効率的に管理する必要がありました。

T. H 数億件という大変な数のデータでしたね。

R. I それだけの数の膨大なデータを人間の目で管理するのは到底不可能で、当然、自動化が必須となります。

S. T そこで、KPMGコンサルティングでは、メタデータの一元管理によるコストの低減や、さらに顧客満足度の向上までも視野に、データマネジメント態勢の構築に向けた支援を行きました。

R. I プロジェクトはコンサルティングファーム数社によるコンペとなり、KPMGコンサルティングが受注しました。受注のポイントとなったのは、テクノロジー視点からのデータマネジメントのアドバイスだけにとどまらず、リスクやガバナンス視点からのアドバイスも行える、という点にありました。提案内容のスコープの広さが決め手となったわけです。また、KPMGコンサルティングは、データアナリスティクスの分野でPythonを使ったAIの評価などでも実績があり、こうした点が高い評価に結びつきました。

S. T データマネジメントの領域は広く、テクノロジーとガバナンスの両面からの支援が必須となります。その両方のケイパビリティ―をもつプロジェクトメンバーがいることこそ、私たちのチームの一番の特徴です。

R. I その意味で、ここにいるメンバーは“夢のオールスター”なんです(笑)。メンバー全員が、テクノロジーとガバナンスの“二足のわらじ”を履ける人材です。現代は、デジタルプラットフォーマーの課題であるプライバシー問題やAIのアルゴリズムのバイアスが引き起こす差別など、世界の潮流を鑑みても、テクノロジーとガバナンス領域の両方の知見を持ち合わせ、課題解決に向け取組むことができる人材が求められています。KPMGコンサルティングは、この両領域を社内で内包しており、シームレスに協業できる環境が整っています。この両面を備えたメンバーを揃えられること、育てていけることは、他社にはないKPMGコンサルティングの圧倒的な強みだと思っています。

T. H 当初は、データ拡充が中心となるので、一見するとマネジメントコンサルティングの“攻め”の領域で対応するプロジェクトのように思いましたが、リスクコンサルティングの“守り”の領域でもデータマネジメントがサービスラインにあり、リスクの観点からも支援していく重要性を改めて理解しました。

H. O コンペの時点で私は、新卒のビジネスアナリストとして他のプロジェクトに携わっており、アサインされたのは2年目にコンサルタントに昇格するのと同じタイミングでした。私も、そこで初めてリスクコンサルティング領域のサービスラインにもデータマネジメントの取組みがあることに気がつきました。

R. I 本プロジェクトは、今後KPMGのリスクコンサルティングのビジネスを拡大していくうえでも、大きな試金石と位置づけられるプロジェクトだったため、経営層からの期待も大きかったです。

――プロジェクトの取組みについて教えてください。

S. T まずは現状調査から着手し、KPMGのフレームワークに基づき、クライアントの課題を明確化しました。その結果、戦略や人材、オペレーションなどの各領域において、あるべき姿と現状とのギャップが明らかになり、ギャップ解消に向けた施策を検討・協議し、優先順位付けのうえロードマップを作成しました。現在は、作成したロードマップに基づき、ギャップの解消を進めています。

T. H 例えば、オペレーションについては業務のルールが定まっていない、、ドキュメントが未整備であることから、業務が担当者依存となってしまい、他の担当者へ業務が振り分けられない、といったギャップが判明しました。このギャップを埋めるべく、クライアントのカウンターパートと協力して一つひとつ、時間をかけて整理していきました。

R. I クライアントはそれまでマンパワーによって、なんとかタスクをこなしていた状態だったため、自動化は必然のことでした。また、データが自社のビジネスの根幹を支えているという意識がもともと根づいているので、クライアントの誰もが同じ方向を目指している、という実感は心強かったです。

S. T クライアントは非常に協力的でしたね。まるで同じチームのメンバーのような感覚で取り組むことができました。

T. H ベンチャーのようなカルチャーが印象的でしたね。

S. T 若い社員が自ら判断し、行動する企業文化が根づいていると感じました。非常にフラットで自由なカルチャーがあり、私たちもノーストレスで取り組んでいます。

H. O クライアントはインターネットサービスの大手ですから、データマネジメントについてはプロフェッショナルです。当然、私たちにも同じレベルが要求されるため、緊張感を持って取り組んでいます。それが、このプロジェクトならではのやりがいでしょうね。スピード感も素晴らしく、新しい施策を提案するとすぐに実行に移され、結果がフィードバックされます。施策の成否がすぐにフィードバックされることは、私自身の成長にも結びついていると感じます。

R. I クライアント自身が、データがビジネスの生命線であることを理解しているからこそ、同じ方向を向いて走っているという感覚が得られるんです。自動化したことでデータの精度が向上し、それがデータのさらなる活用を促す、という良い循環ができてきました。全社レベルでそれが可能となることをゴールに定め、さらに今後はクライアントのグループ企業間での共有も進めていきたいですね。そこからクライアントの新しい事業も生まれてくるのではないでしょうか。

S. T 従来のメタデータ拡充方法を改善したことにより、拡充率が目標を上回るレベルで向上し、作業コストの削減にも貢献できました。今のところプロジェクトの進捗は順調で、KPIの達成に向け支援を提供しています。

T. H クライアントから「作業がやりやすくなった」「感謝している」という言葉をいただくと、本当にやりがいを感じます。私自身、チームリーダーとして自分の判断で進めることができているので、非常にやりやすく思っています。もっともプロジェクトの初期の頃は業務量も多く、キャッチアップするのに苦労しましたが(笑)。

R. I クライアントとの関係は良好ですし、成果もしっかりと出せています。この関係を維持しつつ、より広い目線でクライアントのガバナンス改善にも貢献できたらと考えています。

――先ほどもあったように、リスクマネジメント領域でデジタル人材が活躍しているという点がKPMGコンサルティングにとってもチャレンジングなところですね。

R. I KPMGとしてリスクマネジメント領域のビジネスを伸ばしていくうえで、テクノロジーを取り込んでいくことは必須です。リスクマネジメント領域でもデータドリブンなプロジェクトが増えていくのは間違いありません。デジタル人材は今後ますます重要になっていくでしょう。その意味で、このプロジェクトは“人のプロジェクト“だと言えます。本プロジェクトは十分に成果を上げることができていますし、今後もより広い目線でガバナンス改善の提案を行っていきたいと思います。

S. T ポテンシャルのある人材にチャンスを与えてくれるのは、KPMGコンサルティングの素晴らしい点です。リスクマネジメントの分野でも、テクノロジー系の人材が活躍する場は、ますます広がっていくでしょう。

R. I 私が期待したいのは、常に新しいことに関心を持ち、自ら疑問を解き明かすことで成長していける人材です。これからはZ世代に代表される新しい世代に主役になってほしいですし、その座をぜひ自ら掴み取ってもらいたいと思います。

H. O 私は入社2年目ですが、すでに後輩に追い上げられているという実感があります。負けていられません。

S. T まったく同感です。データは新しい経営資源ですから、従来の既成概念に捕らわれないアプローチが必要です。良い意味で常識を打ち破る力が重要になると思います。テクノロジーは日々進化していき、社会やクライアントが直面する課題も常に新しいものが出てきます。今回のプロジェクトのように従来のリスクマネジメント領域に、新しいテーマが掛け合わさり、新しいチャレンジやバリューを生み出すことが求められるのです。そういうシーンに幾度となく関われる機会が私たちコンサルタントにあることを楽しんでいきたいと思っています。

T. H 先ほど自分の判断で自由にやらせてもらっているとお話ししましたが、R. Iさんが後ろでしっかり見守ってくれているという安心感があるから思いきりできているのは間違いありません。素晴らしい環境だと思いますし、恵まれていると感じます。

H. O 若手だからということで制限されることはありません。むしろ、年齢やキャリアに関係なく、責任ある仕事をどんどん任せてもらっているという感覚があります。実は私自身、文化人類学を専攻した文系人間ですが、テクノロジーに触れる上でハンディを感じたことは一切ないですし、文系理系という垣根なく、自由にやらせてもらっていると感謝しています。活躍の場は無限に広がっていると感じます。高い志とモチベーションがあれば、いくらでもチャレンジできる環境なのは間違いありません。