ケーススタディ ① 戦略

Project 1:Strategy

KPMGコンサルティング

事業変革を通じたクライアントの成長への貢献

KPMGコンサルティングのマネジメントコンサルティング部門では、ビジネストランスフォーメーション(事業変革)の側面からクライアントへのコンサルティングサービスを提供しています。事業戦略プロジェクトの一例の具体的な取り組みについて、ご紹介いたします。

永島 大

永島 大

ディレクター/グローバルストラテジーグループ

大学院では電子工学を専攻。外資系コンサルティングファームを経て、スペイン バルセロナでMBA取得後、2016年にKPMGコンサルティング入社。
 

久村 洋介

久村 洋介

マネージャー

大学卒業後、証券会社に営業として入社。その後、大学院で経営学を専攻した後、大手コンサルティングファームを経て、2015年にKPMGコンサルティング入社。

松家 ひかる

松家 ひかる

コンサルタント

米国カリフォルニアの大学で経済・社会学を学ぶ。日本での就職を希望し、2016年に新卒でKPMGコンサルティング入社。

 

――まず、本プロジェクトの概要についてご紹介ください。

永島 私たちはクライアントである日本の大手製造業に対して、営業プロセスの変革を支援するコンサルティングサービスの提供を行っているプロジェクトチームです。クライアントにとって非常に重要なファンクションである営業部門を起点に、事業戦略と整合性の取れた営業活動をいかにして実現していくか、マーケティング部門やバックオフィス部門など他部門との最適な連携をどのように図っていくか、従来のアナログ情報だけでなくデジタル情報の重要性も高まっている中でいかに営業・販売データから新しいインサイトを引き出していくか、さらにはそのための基盤としての情報システムはどうあるべきか、といった総合的な視点をもち、戦略的な営業プロセス変革をサポートしています。

久村 例えば、いまのクライアントは全国展開している製造業の販売会社。そのクライアントは、各地方の販売会社が統合したという背景がありますが、適切に情報基盤までは統合できておらず、全社的に情報活用が進まない、といったことが大きな課題となっています。そうした全社的な課題や仕組み、プロセスを俯瞰しながら営業戦略の変革を推し進めていくわけです。

永島 時代が変わり、クライアントを取り巻く環境が変わったことから、今まで通りの戦略や組織では競争に勝てなくなっていくのは明らかです。その危機感はクライアントの経営層自身も強く抱いてはいるのですが、では一体どのような姿を目指すべきか、そこに向けてどのように変革を進めていくべきか、を考えて行くにあたっては、クライアント内に蓄積された知見やこれまでの経験だけでは不十分なところがあります。そこで、他社や他業界の事例にも詳しい、あるいは、過去の成功体験に捕らわれない柔軟な発想ができる、といった様々な理由から外部からのサポートが必要となってきます。そういった支援を我々のチームが行っています。

松家 重要なのは、私たちコンサルタントはあくまでサポート役であって、変革の主体はクライアント自身であるという点です。私たちは業界の動向や他社事例などについての知見、課題解決を進めるためのスキルやノウハウを持っていますが、クライアントが必要とする“解”を最初から持っているわけではありません。それはクライアントと私たちが一緒にディスカッションする中で見つけていくものです。ですからこういったプロジェクトは、私たちKPMGコンサルティングから数名、クライアントからもミドル層を中心とする数名が参加して一つのチームを組成し、協力して進めていくことになります。主体はあくまでクライアントで、私たちはいわばパートナーということになります。

永島 具体的な進め方としては、クライアントのミドル層や実務担当社員といったメンバーと週一回程度の定期的なミーティングを行うほか、月に一度経営層を主とするステアリングコミッティに対する進捗報告を行います。もちろんそれら以外の日常的なディスカッション、例えば廊下での立ち話やアフターファイブの飲み会の席などでの率直な意見交換も非常に重要ですね。

久村 クライアントというのは決して一枚岩ではなく、本音は別のところにあったり、経営陣と現場とで温度差があったりします。今まで慣れ親しんだやり方を変えるということは努力や苦労もともなうわけですから、時には現場から我々に対する反発があったりもします。それらを乗り越えてベクトルがぶれることがないようにしていく上でも、密なコミュニケーションは欠かせません。

――プロジェクトが発足した経緯はどのようなものでしたか。

久村 そもそものスタートは、当社のパートナーとクライアントのキーパーソンとの個人的な信頼関係の中から案件が生まれています。わかりやすく言えば、クライアントからの「ちょっと困っているのだが、今度相談に乗ってくれないか?」という一言から始まるわけです。

永島 個人的な見解では、それがコンサルティングビジネスの本質だと考えています。つまりKPMGコンサルティングだから依頼しているのではなく、コンサルタント個人が頼りにできる人物だと思えるから、クライアントは依頼している。今回の場合も当社のパートナーが長い期間を通じてクライアントからの信頼を得て良好な関係を築いてきたからこそ、サポートの依頼が来たのです。KPMGコンサルティングとしての強みが何かと言えば、そうした信頼関係を築いていくことができる魅力ある個人の集まりだというところにあると思います。

――プロジェクトはどのようなフェーズで進められるのでしょうか。

永島 プロジェクトの仕事の内容は、ビジネストランスフォーメーションに向けたシナリオを描く「改革構想立案フェーズ」と、それを実現していく「具体化・実行フェーズ」の二つのフェーズに分けられます。「改革構想立案」とは、クライアントの“あるべき姿”を描き、それに向けた課題を抽出し、解決策を立案することです。そのために事業環境の変化やマーケットにおけるポジションなど、現状把握を進めます。クライアント社内のみならず外部へのインタビューや各種情報の収集・分析など、多面的に行います。こうしたことを通じて、“あるべき姿”を描き出し、現状とのギャップが明らかになり、そのギャップを埋めるための施策を立案していきます。我々コンサルタントは“ファクト”を非常に大事にします。そのため、例えばクライアントの営業担当者に同行させてもらい、現場ならではの生々しい声や実情の理解に努めます。一方で、現状の延長線上ではない“あるべき姿”を描くためには経営者目線を常に持つことが求められます。この双方のバランスをとることが非常に重要となりますね。

松家 例えば、クライアントの地方支社が開催するイベントでクライアントと一緒に当日の運営業務を行いながら、現場でのリアルな声やご要望を吸い上げて持ち帰る、というようなこともありました。コンサルタントの仕事の中で、クライアントの事業の現場で汗をかくというのはとても大切な時間だと感じています。

永島 難しい分析をし、分厚い資料を作って、スマートにプレゼンするのがコンサルタントの仕事、というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実際のところはクライアントと一緒に現場に出ることがすごく多いですよね。

久村 地道な部分も非常に多いと思います。

永島 「改革構想立案」の後は、「具体化・実行」です。絵に描いた餅で終わらせるのではなく、それを実現し、クライアント企業が変革を成し遂げるための支援です。「改革構想立案」において、例えば“我々のクライアントの先にいる、クライアントにとっての顧客が多様な購入形態を求めているにも関わらず、現状では営業担当者の訪問がメインのまま。コールセンター人員やメンテナンス担当のエンジニアがセールス機能も担うことや、Webによる受注システムの強化が必要”という方向性を描いたとしたら、それらを実現するための解決策ひとつひとつを具体化し、そして実行に移していきます。

久村 もちろんその過程においては予期しない様々な事態が発生し得ます。例えば、クライアントの経営陣の体制が変わったことで、進行中のプロジェクトにストップがかかるといったことは、決して珍しいことではありません。そこまでいかなくても、クライアントの現場の方々は日々の定常業務をこなしながらプロジェクトも進めていかなくてはならないため、どうしても日々の業務に忙殺されてしまうこともあり、自分たちの手の届く範囲だけに考えが狭まってしまう、考えがぶれてしまう、といったこともあるものです。

永島 そうした時こそ、我々コンサルタントの力量が問われます。クライアント内での立場や役割によって目指す方向性がぶれてしまったとしても、クライアントのプロジェクトメンバーと我々が“あるべき姿”をしっかりと描ききっておけば、プロジェクトそのものがぶれることはありません。山登りに例えれば、目指すべき頂上は変わらないのだから、最初に決めたルートが途中で崖崩れで進めなくなってしまったならば、別のルートを行けばいいんです。状況が刻々と変わるというのは当たり前の話ですから、常にその変化に対応してやり方を変えていくことが求められます。その意味でコンサルタントにとって、高い視点を持ち、目指すべき方向性を見失わないことと、そこに至るために柔軟であることは、とても重要な資質ではないかと考えています。

――プロジェクトを進めていく上で感じるやりがいや醍醐味とは、どういうものでしょうか。

久村 「改革構想フェーズ」で描き出された“あるべき姿”というのは、クライアントが目指すべき企業像のコンセプトそのものです。それをクライアントと共有でき、それが常にクライアントの拠り所となることは、やはり嬉しいですね。

永島 そのためには、“あるべき姿”というものが、「いろいろと複雑な事象が絡まりあっているけれど、突き詰めると要はこういうことだよね」と言えるレベルまで昇華されていることが必要です。これがしっかり作れるかどうかがプロジェクトの成否を左右するし、そこにブレがなければ、どんな思わぬ障害が発生しても走って行けます。また、クライアントと一丸となってその“あるべき姿”に向けた変革を着実に実行し、業績向上に貢献するというのは、コンサルタントならではの醍醐味ですね。

松家 だからこそ、クライアント自身が主体となり、私たちがパートナーとして支えていくという、確かな信頼関係を築くことが求められます。

永島 つまり“仲間になる”ということでしょう。プロジェクトが始まると我々コンサルタントは、クライアントの会社に常駐して作業を進めます。会議室をプロジェクトルームとして一室お借りすることもあれば、職場に机を並べさせてもらうこともある。それはプロジェクトの規模やクライアントの状況によって様々ですが、大切なのは同じ空気、同じ志で一緒に戦うということなのです。日頃からクライアントと同じ空間で過ごし、一緒に汗を流し、血の通った変革プランをつくりあげていくことで、クライアントの共感を呼び、良好な関係が構築されると信じています。

久村 営業に同行するなど、現場に出ることには、そうした意味もありますね。

永島 我々コンサルタントが何のために仕事をしているかというと、やはりクライアントのために仕事をしているんです。経営トップが交代して“あるべき姿”がブレそうになったら言葉を尽くして説得を行うのも、現場でクライアントと共に汗を流すのも、時には時間を忘れて真剣なディスカッションを重ねていくのも、すべてはクライアントのためです。決して自分自身の成長のためでもなければスキルアップのためでもないし、ましてや報酬のためでもありません。コンサルタントはクライアントの利益を最優先することがミッションですし、その意識はコンサルタントにとって絶対に必要なものだと私は思っています。自身の成長というものは、そういった姿勢で仕事に取り組み続けている結果として、自然とついてくるものだと思います。

久村 自分のミッションとクライアントの利益が一致する職業というのは、なかなかありそうでないとも感じています。自分の業績を上げることや何かを作り出すことが、必ずしもクライアントの利益に直結しない職業も多いでしょうから。

永島 そう思います。だからこそ私は、クライアントの事業変革を全力で支援し、結果としてクライアント企業の業績が向上し、クライアントメンバーの喜びに繋がることが、コンサルタントにとっての最大の喜びだと思います。

久村 「私たちより当社のことをよく知っていますね」とクライアントから感心されることもありますよね。

永島 私は、チームメンバーがそうした言葉をクライアントから頂戴することが一番嬉しいですね。「クライアント企業を良くするためにはどうすればいいか」をクライアント以上に考えていることの表れだと思います。

――KPMGコンサルティングのコンサルタントとしてふさわしいのは、どのような人材だとお考えですか。

永島 今申し上げたような職業的価値観に共感できる方ですね。とことんクライアントに尽くす姿勢は何よりも重要です。そして資質という点では、やはり柔軟性は不可欠ですね。

松家 業種、業界を問わず、多様なプロジェクトにアサインされますから、柔軟にアダプトする能力は重要だと思います。私も、いまのプロジェクトの前は、エネルギー会社のプロジェクトにアサインされていました。

久村 好き嫌いをせず柔軟に、与えられた場所で最大限の力を発揮しようとすることは重要な姿勢ですね。

松家 私がコンサルティング業界への就職を志望したのは、特定の業界や特定の職種にこだわることなく、自分の中の可能性を広げていきたいと考えたからです。コンサルタントならば多様な業界を俯瞰でき、多彩なサービスの提供に携われると考えました。

永島 そういったこともあって、松家さんは、このプロジェクトに興味を持ち、自らアサイン希望を出したんですね。

松家 以前のプロジェクトは「改革構想フェーズ」でしたので、次は「具体化・実行フェーズ」に携わりたいと考えていました。ちょうどそのタイミングで「具体化・実行フェーズ」を進めているこのプロジェクトがメンバーを求めていたこともあり、希望しました。営業という切り口からビジネストランスフォーメーションに携われることにも興味がありました。

永島 自分の希望を主張するのは大切なことですが、しかしそれ以上に大切なのは、それまでに与えられたミッションや役割の中で十分なパフォーマンスを発揮してこられたかどうか、という点です。その点、松家さんはそれ以前のプロジェクトで十分な成果を出していたことを知っていましたので、私も希望を受け入れて、このプロジェクトにメンバーとして迎えることにしたのです。

久村 我々コンサルタントにとっては、プロジェクト遂行の実績こそが、最大の強みであり、付加価値になるのは間違いないですね。

永島 このように、いろいろな機会に対し、個人もプロジェクトも柔軟に対応していけることが大事だと思います。その際には、謙虚さ、というのも重要な要素になります。自分のこれまでのキャリアや実績を過信したり、自分のできることや能力に過度に固執することは、コンサルタントとしての成長を限定的にしてしまいますので、謙虚さというのが必要になります。例えばキャリア入社の方は、それまでに培ってきた業界の知見や専門性、人脈といった強みはとても大切ですが、過去の実績を活かせるプロジェクトに参画したいという考えだけではいずれ壁にぶつかり、伸び悩んでしまうでしょう。これまでの強みは強みとして活かしつつも、これまでに無い新たなチャレンジに対しては自分自身をゼロリセットするつもりで、謙虚に学び、吸収していこうという姿勢が重要です。

松家 スピード感も大切な資質だと感じています。言われたことはすぐに実行に移す、要求されたことはすぐにレスポンスを返すといったフットワークの良さを求められるのがコンサルタントだと思います。

永島 考えるスピード、行動するスピード、コミュニケーションのスピードなど、常にスピードを意識することが求められます。

久村 思考で大切なのは時間ではなく、回数だと思います。長く考えることよりも、考える回数を増やすことの方が重要、ということですね。考えて答えを出すというフィードバックサイクルを何度も繰り返すことで思考の品質は高まっていくのではないでしょうか。

永島 思考力というのはベースとして非常に重要です。ただし、これは単に頭が良い、物知りだ、ということではありません。久村さんが言ったように、思考の回数を重ねられるかです。別の言い方をすると、考え続ける粘り強さがあるか、ということです。コンサルティングプロジェクトで扱うのは、クライアント自身が悩み続けてもなかなか解に辿り着けない重要課題です。それらに対し、我々コンサルタントはプロフェッショナルとして、極限まで考え抜くことが求められます。そういう意味で、ベースとしての思考力は必須です。そのうえで、先に挙がったような、柔軟性、謙虚さ、スピード感、といった資質を備えることができれば、非常に魅力的なコンサルタントと言えるでしょう。そのような方と是非一緒に働きたいと思います。