社員インタビュー

Interviews

KPMGコンサルティング

これまでの常識が通用しない変革の節目を察知し、未知の領域に飛び込む。自ら新しい市場を切り拓いていく。

麻生 多恵

コンサルティング部門
Sustainability Transformation(SX)ユニット
パートナー
2005年入社

大学卒業後、IT系コンサルティングファームに入社。主に金融業界に対し、基幹システムの開発設計を担当。2005年、より広い知見を得るためKPMGビジネスアシュアランス(現KPMGコンサルティング)に入社。現在はSXユニットの副ユニット長、気候変動・脱炭素サービスのリードパートナーを務める。KPMGコンサルティングにおける女性社員のエンパワーメントを推進する活動「WOVEMENTS®」の責任者も務める。週末には、山中湖でのんびりしたり、ダイビングをしたり、仕事とは180度異なる時間を過ごしている。

サステナブルへと大きく舵を切った世界
今まさに、社会システムを根底から変えなければならない

これまでのキャリアを振り返ると、社会が変わろうとする節目で、常に一歩先の未知の領域に足を踏み入れてきました。既に確立され成熟した分野で成長していくよりも、新しい世界で道を切り拓くことの方が好きなのだと思います。
社会がIT化を迎え経営のあり方も大きく変わりつつあった当時、新卒でITコンサルティングファームに就職し、大小さまざまなプロジェクトを経験しました。その後、ガバナンス経営が注目されるようになったことをきっかけに、IT領域に留まらず、より本質的な面で経営課題を解決していきたいという思いからKPMGコンサルティングに入社しました。そこからリスクコンサルタントとしてのキャリアを踏み出し、クライアントのガバナンス構築に携わってきました。直近の数年間は、激動の時代を迎えた金融機関に対し、存続をかけたビジネスモデル変革を支援してきました。

そして現在、再び社会の価値観が大きく変わり、新たにESGやSDGsへの関心の急速な高まりにより、企業の経営戦略の在り方も変わりつつあります。気候変動といった地球規模の環境問題に対して、企業としてどのように真に向き合っていくか、その姿勢が問われ、企業価値をも大きく左右するという、これまでの企業経営のフレームワークや経験が通用しない、新しい社会が到来しています。
この新しい時代に向き合い、サステナビリティ(持続可能性)に対するKPMGコンサルティングとしてのスタンスを明確に示すべきだとの想いが、未知の領域に首を突っ込む性格の私を突き動かしました。企業のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)のサポートを専門とする部署の立ち上げに奔走したのも、同じ理由からです。

サステナブル経営の各要素の中でも、気候変動が全地球的な課題であることは広く認識されています。そして、この課題解決のためにはGHG(温室効果ガス)排出量の抑制が待ったなしであることも理解されており、2030年までにGHG排出量の大幅削減を宣言している企業も少なくありません。GHG排出量ネットゼロを実現する道筋を2030年までに見出すことができなければ、その後の2050年、あるいはその先の未来では、何をやっても効果が見込めない/手遅れだとする有識者の見解もあり、2030年は地球規模のマイルストーンとなっているのです。
しかし、どのようにGHG排出量ネットゼロを実現するのか、企業の成長戦略の中にサステナビリティをどう位置づけていくのかという話になると、まだまだ心許ないのが現状です。新しいエネルギーがどういった形で利用可能になるのかもまだはっきりせず、法整備も政策も模索段階の中で、多くの企業は明確なロードマップや実現手段をイメージできていません。変化が激しく予測困難な社会において、コアビジネスの先行きが不透明な企業も多く、ESG経営の必要性は理解していても、このように不確定要素が多いなかで、気候変動問題への取組みを経営戦略や事業戦略と一体のものとしてとらえることは、とても難しいことです。
そのような状況であっても、地球は待ってくれません。この地球で経済活動を行う者として、気候変動問題の解決に向けて積極的な役割を果たすことが企業には求められ、わずかあと数年で、世界中の社会システムを抜本的に変えなければならないわけです。今、この瞬間に、企業が何をすべきかが、真剣に問われています。

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これまでの価値観を変え、サステナブル経営の在り方からデザインする

こういった状況のなかで、KPMGコンサルティングは、科学的な見解や予測に基づき、企業がサステナブル経営を実現するための事業戦略・ガバナンス・会計財務・企業文化・業界特性などを踏まえた目標設定やロードマップ策定、リスク対応、具体的な施策といった包括的な提案を行っています。

例えば、脱炭素において重要なのは、まず現時点で企業がどれだけのCO2を排出しているのかを計測し、実態を把握することです。そこで必要になるものとして、企業のあらゆる経済活動を数値化し、CO2排出量を推計するデジタルプラットフォームの導入、つまりDX(デジタルトランスフォーメーション)が挙げられるでしょう。では、CO2の排出量を把握した後、その削減に向けた具体的な施策はどうすべきか。再生エネルギー(グリーン電力)を導入するのか、カーボンオフセットで埋め合わせるのか、あらゆる状況を考慮して最適解を見つけ出していきます。ただ、脱炭素を推し進めるあまり、企業として売上を稼ぐためのビジネスが衰退してしまっては意味がなく、事業の成長戦略の一環として、GHG排出量ネットゼロを実現していかなければなりません。さらに、事業の別領域に目を向けると、例えばサプライチェーンにおいては、原材料や労働力の調達において児童労働・低賃金労働や森林破壊などの人権・労働・環境問題が潜んでいることがあります。自社の経済活動が社会のどこまで影響を及ぼしているのか、包括的なアプローチこそが求められています。
このような脱炭素への取組みからも分かるように、サステナブル経営の実現は、これまで企業が培ってきたナレッジやアセットをそのまま当てはめて対応できる容易なものではありません。今までの価値観を根本から変え、企業経営のあらゆる側面における大きな変革が必要となります。

KPMGコンサルティング、そしてKPMGジャパンのメンバーファームには、SXの専門家はもちろん、リスクやガバナンス、デジタルテクノロジー、会計・財務など、あらゆる分野のプロフェッショナルが在籍し、サステナブル経営で最先端を行く欧州のKPMGメンバーファームとのグローバルネットワークもあります。KPMGのアセットとネットワークを活用することで、GHG排出量ネットゼロを達成するためのSXを包括的に支援できることが、私たちの強みです。

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不確かな社会において、舵取りのためのシナリオ設計と実装力にこだわる

2030年に向けてのこれからの数年間、世界はどのように変わっていくのか、正解は誰にもわかりません。未来は予測できないことばかりだなと、コンサルタントをやっていると常にそう思います。ほんの数年前には、ウィズコロナの社会の到来を予見できた人は皆無だったでしょう。これほど短期間のうちに在宅勤務が当たり前になるとは、ほとんどの人は思ってもみなかったはずです。複雑化・多様化する社会においては、わずか数年後についてであったとしても、想像できる範囲は限られるのです。
一瞬にして強制的に価値観が変わり得るほどに未来への見通しが困難な社会においては、課題解決と成長に向けた舵取りのためのシナリオを、複数用意することが大切です。最初からルートを決めて一本道を進むのではなく、複数の道を用意し合理的に選択していく。その選択を前向きに捉え、レジリエンス高くしなやかに変化しながら前に進んでいく。この考え方は私の生き方とも通ずるものでもあります。
私たちに求められるのは、シナリオ=ロードマップを描くだけではなく、実際にその道をクライアントとともに選択し、ともに歩んでいくことです。成長しながら脱炭素を実現するまでシナリオを実行する力、最後までクライアントと伴走する力、つまりエグゼキュートする力にこだわり、道を切り拓いていきたいです。

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新しい価値観を生み出し、次の世代へつなぐ覚悟で取組む

気候変動問題は世界にとって大きなリスクではありますが、一方でチャンスでもあります。
2030年にGHG排出量ネットゼロを実現する道筋がつけられたとして、あるいは2050年に目標を達成できたとして、それは私たちが地球上で永続的に生きていくための、あくまで通過点でしかなく、決してゴールではありません。本当の勝負はそこからで、おそらく今とは価値観がまったく異なる未来において、次の成長戦略を次の世代へつないでいかなければなりません。
新卒でこれから社会に出る皆さんは、2030年あるいは2050年には、社会を動かす中心的な存在になっている世代です。つまり、世界を変える主人公となる、とても大切な世代と言えます。自分たちこそが新しい価値観を生み出し、新しい世界を動かすという自覚を持っていただけると嬉しいですね。
また、中途入社でこの時代にコンサルタントを目指す方は、ご自身の中に社会課題に立ち向かう高い志や強い覚悟があるに違いないでしょう。それがご自身ならではの「軸」であり、コンサルタントとして生きていくうえでの「矜持」でもあるのだと思います。価値観が変わっていく時代だからこそ、譲れないものを大切にしていただきたいと思います。

気候変動というリスクを認識し、そのリスクさえも成長戦略に変えていく。数十年にわたる壮大なチャレンジが、既に始まっています。

※記事の記載内容は、インタビュー取材時点のものとなります。