インタビューイー(写真左から)

KPMGコンサルティング株式会社

Technology Transformation

シニアマネジャー 阿部 一史

アソシエイトパートナー 黒川 隆洋

シニアコンサルタント 片岡 千尋

公共、インフラストラクチャー、エネルギーセクター統轄 パートナー 関 穣

 

独立行政法人都市再生機構

理事長代理 中村 功氏

総務部 担当部長 原田 岳志氏

総務部 情報システム再構築課課長 鈴木 哲也氏

 

※記事の記載内容は2024年7月時点のものとなります。

 

Key Factors for Success ~本プロジェクトを成功に導いた鍵となるポイント

 

  • Business Biotopingの体現として、クライアントおよび開発事業者に対して「リスペクト」を行い、それぞれの役割や強みを活かした「コラボレーション」環境を醸成
  • KPMGコンサルティングが周辺プロジェクトを一体として取り組むことにより、別プロジェクトとも連携し、UR 都市機構のニーズを的確に把握し、効率的かつ高品質な業務遂行を実施
  • システム移行は、リリースで完了ではなく業務に定着して完了という視点による円滑導入支援の実施

 

環境変化に柔軟に対応できる基幹システムの再構築へ

独立行政法人都市再生機構( 以下、UR都市機構)は基幹系システムとして、業務の定型性•大量性に着目し、事務の省力化・適正化等を目的に収納システムを中心としたメインフレームによるシステム化から始まり、インターネットとの連携や図面データ管理といった新たなニーズに対応するため、メインフレームを利用しながらオープン系のサーバ技術も利用し、システムを拡張してきた経緯がある。こうした長年の運用や度重なる改修の結果、システム内の構 造や連携処理が複雑化し、経営戦略や法制度改正への柔軟な対応が困難な状況が顕在化。このままでは住宅管理系システムが維持拡張が出来ない状況であった。

「システムが一極集中型になっていたため、どこかシステムを改修するとなると他のシステムにも同時に影響が波及してしまう。特にオープン系サーバに機能を集中しすぎると障害発生時にシステムが全停止する」と鈴木氏は当時の課題を語る。さらに導入していたメーカーからメインフレームの製造中止発表もあり、これらの課題に応えるため「適度に分離・分割されたシステム構造の実現」「意思決定の迅速化を支えるデータ分析の仕組みの実現」などを重点テーマとして次期基幹系システムの再構築に着手した。UR都市機構にとっては約 40 年ぶりのシステムの大規模刷新であり、だれも経験したことのない未知のプロジェクト。その工程管理のパートナーに期待していたこととして「工程管理の実行能力はもちろんですが、プロジェクトの成功に大事なのは人。企業名やバリューではなく、どれだけいい仲間と取り組むことができるか。蓋を開けると KPMG コンサルティングのみなさんでした」と原田氏は当時を振り返る。KPMGコンサルティングは、本プロジェクトに限らず、セキュリティ運用支援、人事、DX など多岐にわたる支援を拡大している。これは、この一大プロジェクトに伴走するパートナーとして長年築き上げてきた信頼の現れといえるかもしれない。

 

 

 

同じ船に乗った仲間として全員一丸となって目標を目指す

2018 年の意思決定から約 6 年にも及ぶ今回の長期プロジェクト。一度に全システムを切り替えた場合の業務停止リスクと職員の負荷を低減するため3段 階のフェーズに分け、システムをリリースしてきた。一方、現行システムを稼働させながらの段階的移行により関連事業者が膨大となり、テストや本番移行に伴うタスクが複雑化していた。フェーズ3 の本番移行を実施した際には、 25 の相手先と127 名超の体制で830ものタスクを遂行していた。

開発するベンダーや複数事業者が関わるプロジェクトでは、全員が同じ方向を見て進むことが不可欠となる。本プロジェクトを成功に導いた一因といえるのが、月次の全体会議における中村氏の「私たちは同じ船に乗った仲間である」という言葉だ。これにより、事業者が互いの役割を理解しあい、リスペクトしあうことで現場の一体感が醸成された。「システムは人がつくるもの。今回のような大規模なシステム刷新では、全員が協力してワンチームで取り組まなければならない。 KPMG コンサルティングには工程管理業務においてチーム全体をまとめる役割をお願いした」と中村氏は語る。

KPMG コンサルティングは事業者全員が共通認識を持ち、常に目的に立ち戻れるよう、プロジェクトの検証やルールづくりを推進した。さらに、横浜にプロジェクトルームを設置してメンバーが常駐し、機構や関連事業者と常に密なコミュニケーションを図れるようにした。「全員が同じ目線で一緒に取り組んでいただいたことが非常に大きい。今回の大規模刷新は、まさにエベレストに登るようなもの。ラストキャンプから頂上までは私たちが頑張らないといけないが、そこに到達するまでシェルパとしてしっかりと伴走していただいた」と原田氏は評価する。本番移行当日にも予期しないトラブルが起きたが、その際も事業者同士が協力し、自社の役割の範囲外であっても自発的に解決策を提案し、共通のゴールに向かって一丸となって対応した。その結果、トラブルも無事乗り越え、システム移行を完了することができた。

 

 

 

インフラと戦略を担う部門として新たなバリューを生み出す

「今回の刷新はシステムを業務単位に整理し、適度に分離・分割するというポリシーで進めてきたので、例えばどこか改修したいシステムがあっても、その他のシステムに直ちに影響を及ぼすことがなくなりました。また、私たちは 2018 年に基幹系システムのサーバシステムの DB 障害により、最大で2週間もの間システムを停止させてしまった。1つの基盤に集約することのリスクを改めて考えさせられた。システムの刷新にあたっては絶対にこれを繰り返さない仕組みにしないといけない」と鈴木氏は手応えを語る。

今後の事業について原田氏は「新たに生まれ変わった基幹システムに蓄積されたビッグデータを利活用しながら、新しいビジネスやバリューを生み出していきたい」と展望を語る。環境問題や少子化・高齢化、さらには防災性の向上など多様な課題と向き合い、安全・安心・快適なまちづくりやくらしづくりを支えていくために、今後基幹システムが担う役割について中村氏は次のように語る。「システムは縁の下の力持ちであり、インフラとして欠くべからざるもの。同時に、今後はデータの蓄積・分析を行う戦略部門にもなり、システムを活用してどういうマーケティングを行うかがますます重要になります。そこに伴走いただくパートナーとしてKPMG コンサルティングには引き続きお願いしたい」と期待を寄せる。

事業を取り巻くDX 化のニーズが高まるなか、KPMGコンサルティングは、これからもDX によるイノベーション、セキュリティやレジリエンスの強化、顧客接点の強化などを通じて、社会課題に挑戦するUR 都市機構のまちづくりに伴走し、支援を続けていく。