2023年夏、慶應義塾高等学校野球部の夏の甲子園優勝が大きな話題となりました。丸刈りを強要しない指導方針や、同調圧力への問題提起、主従ではない監督と選手の関係性を軸とした心理的安全性の高いチームビルディングなど、森林貴彦監督のチーム作りの手腕は、企業経営における示唆に富んでいます。
今回、森林監督とKPMGコンサルティング(以下、KC)CEOの宮原正弘による対談が実現しました!
「高校野球」と「企業経営」という2つの異なる視点から、「正解」がないVUCA時代における日本企業の「変革」のヒントを探っています。
<前編> 慶應野球部の挑戦から見える、日本企業の「変革」のヒント
組織のパフォーマンスを最大化するためには、個人一人ひとりがやりがいを持って、自律的に役割を担い活躍できる環境がなくてはならない。その前提には、息苦しさを感じるような既存の仕組みや前例に違和感を持ち、自ら新しい選択肢を取り入れていく大胆かつ強固なリーダーシップも必要。心理的安全性の高いチーム作りのために、リスペクトを伝え合うコミュニケーションの場として月次で行う勉強会。そうして、目先の野球での勝利だけでなく、長い目で未来を見据えて育まれる人間力。
高校野球の世界で「人間力」を重視した森林監督の指導は、チームビルディングや、パーパスの共有など、ビジネスの世界にも通ずるテーマに溢れています。
<後編> 変革の時代に必要なリーダー像とAIに代替できない「人間力」
リーダー自身が常に世の中の変化にアンテナを張り、新しい価値観を取り入れながら自ら成長し続ける。そのために、自分の専門分野や懇意にしている業界以外の方に会いに行き話をする機会を仕掛け、自分の価値観を絶えず揺すぶり固定化されないようにする。一方で、社会に漂う古い価値観を刷新しきれない閉塞感に対しては、「何がしたいのか」「何が自分の幸せか」といった自分自身の本音にとことん向き合うことが、閉塞感を打破する1つのパワーになり得る。個人の本音や意志を活かす組織作りが必要。
変革に必要なリーダーの取るべきアクションとマインド、そして最後には、スポーツの秘める力とその未来について、スポーツに携わる森林監督と、スポーツビジネスを推進する宮原社長で大いに盛り上がりました。