KPMGコンサルティングでは、組織におけるリーダーシップ開発に向け、グローバル共通のフレームワークを活用しながらさまざまな取組みを行っています。

 

今回のブログでは、KPMGコンサルティング共同代表の関穣パートナーに、大切にしている仕事観や、KPMGコンサルティングの中で「当たり前」にしたい組織文化についてインタビューを行いました。是非最後までご覧ください!

 

Q1. 仕事をする上で、関さんが最も大切にしていることは何ですか?

私が一貫して大切にしているのは、アウトプットではなくアウトカムを重視することです。

私がコンサルタントとして若手だった頃は、長時間働くことが美徳であり、資料の精度や見た目に過剰な時間をかけることが当たり前だった時代がありました。しかし、ずっと「何か違うな」と思ってきました。かけた時間に対して、必ずしも成果が比例しないと感じた場面が過去に何度かあったからです。どれだけ完成度の高い資料を作っても、クライアントが納得し、動かなければ意味がありません。一方で、クライアントと良好な関係が築けていれば、資料の完成度がたとえ完璧でなくとも提案が通り、物事が前に進むことだってあるんです。つまり、私たちの仕事は「美しい提案書をつくること」ではなく「クライアントの行動を促し、成果につなげること」。成果を出すために、相手の背景や関係性構築の重要性を理解し、時間と力を注ぐべきポイントを見極めることが大切だと考えています。

 

Q2. 説得や交渉が難しい相手や、そもそもコンサルタントにネガティブな印象を持っている方と向き合う時、相手を動かすために、意識していることはありますか?

どんな人にも必ずその人なりの良さや相手が大切にしているものがあると捉えることです。

これまで、多くの「難しい」と言われる方々と仕事をしてきましたが、相手が反対している理由は必ずしもロジックや提案内容ではなく、相手の立場や置かれている状況、そこから生まれる感情など、別の要因であることも多いと気づきました。その点に気づいてからは、相手のチャームポイントやこだわり、強み・弱み、価値観等を丁寧に捉え、何に配慮すれば前に進めるかを見極めることを意識しています。相手を動かすためのポイントを見極めて行動することで、人は初めて動くのです。確かにポイントの見極めは難しいですし、唯一の正解はない。だからこそ、苦手な相手だからといって諦めるのではなく、どんな人にも良い点があることを前提に、それを探し続けることが大切だと思っています。

 

Q3. その経験によって、ご自身の中でどんな変化がありましたか?

反論されることが怖くなくなりましたね。Q2のような経験を重ねる中で、私自身の向き合い方が変わりました。反論の理由は必ずしも我々の提案だけに起因するとは限らないと分かったからです。

相手の置かれている立場、組織の事情。そうした「背景」が反論という形で現れていることがある。だから今は、反論が来た瞬間に「この人は今どういう状況なんだろう?」と思えるようになりました

アウトプットだけに意識が向いていると、言われた通りに資料を修正する、組み立て直すなどのアプローチに偏りがちです。ですが、背景に目を向けられるようになると、コミュニケーションや関係構築など、より多くの選択肢の中から、最適なアプローチを選べる。反論は怖いものではなく、「相手を知るための入り口」なんですよね。

 

Q4. 今でも思い出す、後悔している出来事と、そこからの教訓があれば教えてください

タイムマシンがあるなら、一度だけ「戻りたい」と思う瞬間があります。数十年前、大手新聞社主催のセミナーにパネリストとして登壇した時のことです。登壇者の多くは大手企業の経営者、大学教授など著名な方々ばかり。

当日、ある登壇者の方から「セミナー後に本の出版記念パーティーがあるので、参加しませんか」と誘われたのですが、気後れして適当な口実を作り、断ってしまいました。当時の私はまだ30代で、他の登壇者たちの洗練された佇まいや雰囲気、世代の違いなども含めて、控室にいる時から居心地の悪さを感じ、「自分は場違いではないか」と思い込んでしまいました。

冷静に考えると、パーティーに参加すれば、さまざまな方に出会い、学び、ネットワークを拡げることができたはずです。ですが、人見知りな性格もあり、無理して参加するのもどうかと思い、断ってしまい後悔しました。相手の立場や役職等にひるむことなく、積極的に飛び込まなければ、得るものも得られないと学んだ出来事でした。

人見知りは、今も完全には克服していません。ですが、その経験があってから、機会があれば意識的に一歩踏み出し、懇親の場などでは初対面の方と積極的に会話することを大切にしています。あの時の後悔が、今の自分の行動を少しだけ後押ししてくれています。

 

Q5. KPMGコンサルティングをより良い会社にするために、社員に期待していることは何でしょうか。判断に迷ったときに立ち返るべきポイントがあれば教えてください。

KPMGコンサルティングで働く皆さんに期待していることは大きく二つあります。

一つは、プロフェッショナルとして、人として「正しくある」ことです。例えばスポーツ選手をイメージしてほしいのですが、彼らは常に見られている存在であり、競技以外の部分でも人間としての品格や成熟度を求められています。私たちの仕事も同じで、プロフェッショナルとして何をするかだけでなく、どんな姿勢で臨むかが問われています。「この行動は人として正しいか」「自分がされたら嫌なことを相手にしていないか」―ここに自信が持てるかどうかが、判断の基準になります。

 

もう一つは、全ての行動の「目的」を常に問い続けることです。「何のためにこの作業をするのか」「これは目的達成に必要か」を常に自問してほしい。若いメンバーにとっては、時には無駄だと思うような作業があったとしても、自分の中での目的があれば成長につながります。しかし、目的がなければただの消耗にしかなりません。経験を重ね、職位が上がると、仕事全体を設計する側へとステージが変わります。その時に求められるのが、目的に対して最も効果的な手段を選び、無駄を削ぎ落とす力です。アウトカムを意識して動けるようになると、仕事の質も、時間の使い方も大きく変わります

是非これらの二つを意識して、日々の業務に取り組んでみてください。

 

インタビューを終えて

日々のふるまい、相手へのリスペクトや向き合い方そのものが生み出す「影響力」が人を動かすうえでいかに重要かを感じました。

人としての正しさや目的を問い続ける姿勢が、自分だけでなく、周囲の行動や意識をも静かに変えていく。一人ひとりの当たり前の選択や行動が、組織文化を形づくるのだと改めて考えさせられる時間でした。

 

本インタビューが、働く一人ひとりにとって、ご自身の仕事や姿勢を振り返るきっかけとなれば幸いです。